写真は以前、旅行で千葉県の銚子へ向かう途中に見つけた鳥居。
この写真は土手に上がる階段から見上げて撮っているので写っていないけれど、
この鳥居は川に面して建てられている。
不思議なのは土手を上がるとそこには川があるだけで、肝心の社が見当たらないことだ。
その名を「浜鳥居」と言い、やはり側に建てられている石灯籠は文化財に指定されている
そうだが、なぜお社がないのか、その説明は無い。
それでもこの風景はユニークなので、次回のブログでもここの写真を載せるつもり。
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ところで今、「国民年金のカット法案」がちょいちょい報道されている。
この法案が通った場合、一月あたり3300円の減額が見込まれるようだ。
ただでさえぼく個人としては少ない(月々6万、それも65歳になってから)
支給額がさらに目減りするわけだ。
これは、、どうなんだろう、、。
この制度を取りやめて一旦これまで支払った分の返金に応じて欲しいと
マジで思う。
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さて、鳥取砂丘、ひとり旅の続きです。
多分これで完結します。
雨上がりの夜、一人ぼくは霧に包まれた鳥取砂丘へ出かけた。
砂丘の小山を越えて海へ出た。
するとその夜の海に、小舟が停泊している。
その小舟から聞こえてきた声は、朝鮮語だった。
一人、小舟から下船してこちらへ向かってくるようだ。
怖い。
ぼくは元来た方へ引き返した。
そして、ラクダのこぶのような小山に上がり振り返る。
振り切ったのだろうか、それとも思い違いだったのか、
追ってはいない。
と、隣の小山の上に何かが動いた。
それは、犬だった。
それも、大きい。
多分(当然?)飼い犬ではない。
野犬だろうか。
それが小山の斜面を挟んで反対側の小山に立ち、牙を向いている。
、、正確には、、そこまでは見えていないけれど、、多分牙を向いている。
と言うのも、うなり声と共にぼくに向かって吠え立てたから。
そして次の瞬間には斜面を下りこちらの小山へ向かって来た。
さっきまでの人と今度の犬。
ぼくはとりあえず海でも犬のいる小山でもない方向へ向かって
出来る限り早く移動した。なにしろ砂丘は走りづらい、、それは犬も同じだろうか?
この時ばかりはカメラの三脚に感謝した。
もしもこのデカい犬と対峙することになってしまったら、
こいつで応戦できるから。
ただし、ぼくは柴犬を飼っていたけれど、そんな中型犬でも敏捷で
強い。それが大きな犬となると、どうだろう。追い払えるだろうか。
それから「マスターキートン」だ。
以前に読んだこの漫画では確か、犬は地上最強と書かれていた。
そんなことを思いながらぼくは必死で逃げた。
そして今晩何度目か、振り返るとその犬は後ろの小山から
こちらを見下ろしていた。
さっきより距離が開いているようだ。
少し速度を落としつつ、ぼくはとにかく道路の方へ向かった。
ようやく道路へ出る。
早く車の中へ逃げ込みたかった。
ただ今度は車が見つからない。
夢中で走ってきたのでた場所が違い、
やっと見つけた駐車場には車がない。別の駐車場なのだ。
暗くて、同じような景色で、方向感覚が定まらない。
と、そこへ一台の車が走ってきた。
よほどぼくはその車を呼び止めようか、と思った。
でも街灯で照らされたそのドライバーは女性で、
こちらを見てはいたようだけれど、車を止めることには躊躇いがあるように
ぼくは感じて見送った。
もう一つ駐車場を見つけて、そこに自分の車を見つけた。
中古のシビック。
とにかくすぐに車を出した。
とにかく誰かと話したくて、宿の駐車場に戻ると、
ぼくは大学の後輩で、鳥取出身の友達に電話して事の顛末を伝へた。
深夜の電話で最初彼は迷惑そうだったけれど、
ぼくの話を聞くと笑い出して、「夜、砂丘へ行っちゃあいけないんだ」
と一言アドバイスをくれた。
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翌日、早朝から、ぼくはまた砂丘へ行った。
眠かった。でも日中の砂丘は健全だ。
ホームズばりに地面を見ると、そこには犬の足跡がはっきり残っていた。
足跡も、やはり大きい。
それから海へ向かった。
ラクダの小山から海を望む。
、、やっぱりここに船があるのは奇妙だと思った。
船が近づく場所ではない、、と感じた。
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小舟が密漁船なのか、はたまた拉致に来たものなのか、今もわからない。
何故かずっとそれを考えなかったのだけれど、警察へ届けるべきだった
のかも知れない。
ただ、実際に自分が遭遇したことなのに、その瞬間でさへ恐怖心はあるのに
なんだかぼんやりとした印象で、実感が少し希薄だった。
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鳥取砂丘。
その日、寝不足と驚きのためにぼくは疲れ切っていた。
海へ背を向け、帰ることにした。
肝心の写真の方は、ほとんど収穫がなかった。
観光用のラクダが2頭いた。
見るとラクダを前にして、自分と同い年くらいの女が2人はしゃいでいる。
ラクダの隣に立ってお互い写真を撮り合い、そして何とか2人で一緒に撮れないか
と言ったところでぼくに気がついたのだった。
「写真撮ってください」
渡されたカメラでラクダを中心に2人を撮る。
と、ぼくのカメラを見つつ「すごいカメラだね」、「1人なの?」
と聞かれた。
2人とも、可愛かった。
ぼくは1人で、彼女もいなかった。
この鳥取の旅にしたって彼女とでも来たかったのだ。
ただ、ぼくはとても疲れていて、とても、眠かった。
だからまだ何か話しかけようとしていた2人に、
「そうだよ」と一言返事をして、歩き出した。
ただただ、眠かった。
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車の中で仮眠を取り、それから大阪への帰路に着いた。
車の中で2人のことを何度も思い出した。
その度に降り続いた雨も、小舟の男たちも、野犬も、最低だと思い、
何より自分自身と、卒業間近でうだつの上がらなかったこの4年間を
最低だと思った。