写真は千葉県で撮ったもの。風力発電の風車。
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ヒアリのニュースが絶えない。
検索してみると蟻の種類はとても多く、現在およそ1万2千種類が見つかっていて、
日本では280種類が確認されているとか。
8月も半ば、夏休みだ。
ぼくは小学校3年生の夏休みほぼ一ヶ月を従兄弟の住む長野で過ごした。
従兄弟の父は蝶の採取を趣味にしていて、その夏休みぼくはその叔父とともに
虫取り網を持って何回か蝶の採取に行った。
一つ年下の従兄弟はあまり昆虫や蝶を捕まえるのを面白がらず、
ぼくの方が面白がっていたのもあって、その日は叔父とぼくと二人で蝶を探しに行った。
車でどのくらい走ったのか定かではないけれど、ある山の麓で車を止めると、
その山に叔父とぼくは分け入った。
普段人が入ることなどほとんどないのだろう、山は鬱蒼としている。
木々がぼくの視界を頻繁に遮る。
多分叔父はぼくの歩く速度に合わせてくれていたのだと思う。
それがしばらく山を登っていくと、どうやら目当ての蝶を見つけたらしく、
「自分が戻るまでここを動かないように。それからその辺の石は踏まないように」と
言い置句と、叔父は驚くほどの速さで山を登り始めた。
ぼくはしばらく叔父の背中を追っていたけれど、それはすぐに見えなくなった。
叔父の立てるガサガサ言う音が聞こえなくなってから、多分1分ほどは静かにしていた。
山の中にぽつんとしていて、ぼくはすぐにつまらなくなった。
そこには見渡す限り、木と隙間から見える曇り空と足元の地面しかない。
それを交互に見ながらここに素敵な蝶が現れないか、と考えたけれど現れず、
次に叔父を追いかけようか、と思ったけれど叔父がどこら辺りにいるのかもう
分からない。嫌になって下山するにもいくら乗り出しても道路が見えず、
ここには山道もなく迷子になるのが怖くて動くに動けなかった。
叔父が迎えに来るまで待つしかない。とにかく待とう。
そういうことになった。
ぼくはまた木と空と地面を交互に見ながら叔父を待つ。
どのくらい待ったのか、分からない。
あまりの退屈さにジリジリしていると、「石を踏まないように」と言った叔父の
言葉が思い出された。
なぜ石を踏んではならないのか?
ぼくは足元にあった大きめの石ころをちょん、と蹴ってみる。
それからその様子を叔父に見咎められないかと周囲を見回す。
が、何も起きない。
またただただ待ち続ける。
木を見て空を見て地面を見る。
と、足にアリがたかっている。
手で払う。
もう一匹アリがいる。
手で払う。
アリがどんどんぼくの足を這い上がってくる。
驚いて、数歩後ろに下がる。が、そのはずみで他の石を踏む。
と、その石の下からたくさんのアリがわらわらと現れてぼくの足をよじ登る。
少し怖くなって、抱えていた虫除けスプレーを足にかける。
それに驚いたのか、ありがぼくの足を噛む。
払いのけてもスプレーをかけてもアリは次々現れる。
そうしてしばらくアリと格闘していたら、叔父が戻ってきた。
追いかけて行った蝶を捕まえたのか逃げられたのかを聞かなかったけれど、
ぼくの足元を見るなり、「石、踏んだのか。ここらの石の下はアリの巣だから、
踏むと怒って襲ってくるんだ。まぁ噛みつかれてもたいして痛くはないけどね」と
言い。それからぼくを連れて下山したのだった。
それ以来、ぼくはアリを見るとたまにその時のことを思い出す。
でもそれ以来、ぼくはそんなアリとは出会っていない。
でもきっと、それはそれほど珍しいアリではないのだろう、と思う。
ヒアリのニュースから、またその夏のことを思い出したのだった。
アリは1億年以上前にスズメバチの祖先から別れて進化したと考えられているそう。
通りでアリにも毒や羽があるわけです。
また今度スズメバチの思い出?も書きたいと思います。
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思ったより長くアリについて書いてしまったので、
「秘密基地 その7」は次回です。
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