連日雨。
洗濯物が干せない。
このままではカビが生えてしまうし、着替えもなくなってしまう。
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もう20年以上前だけれど、大学で健康診断を受けた。
大学での健康診断は4年間に一度きり。
入学したての頃だった。
まだ知り合いも殆どおらず、新入生みんなが検尿のカップを抱えて長い列をつくっていた。天気がよく、屋外のこと。検尿の列は校舎に続き、トイレの空く順番を待っていた。
そこへ1つ、サークルの勧誘があった。
漫研だった。
まんけん。何やらいやらしい響きだが、漫才研究会のことだ。
順番待ちで、暇を持て余している新入生を笑わせる。いかにも関西らしい、最高のおもてなしだった。
オリンピック誘致を狙うスピーチの中で口にされた、いい加減な「おもてなし」とは違い、本物だった。
当時、ぼくは頑な(かたくな)だった。
今よりはるかに頑なだった。
当時ぼくは、笑うのは男らしくない、と思っていた。
笑いは、恥ずかしいモノだと思っていた。
だから、ぼくにとっては、笑うのは一人、もしくは親しい人たちと少人数で共有するものだった。
そこへ漫研だ。
最高に笑えた。
周囲は知らぬ人ばかり。
笑いたい、が笑えない。
ぼくは、つらかった。
だから、検尿カップを抱えたまま、引きつけを起こしたように震えていた。カップが空で本当に良かった。
健康診断の列は遅々として進まず、
塞ぐことのできない耳には発作を起こさせること必至の漫談が飛び込んでくる。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
つづきは、また。
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